毎日見かけて、よくお話するお客さま。
最近なんだか顔色がよくない。もしかして夏バテかな?
そう思ったので、夏バテに効く野菜を自分で調べて
売場に‘健康ネバネバ野菜コーナー’を作ってみた。
「今が旬なのでいちばんおいしいですよ」
「オクラと長芋で、ネバネバ丼にするのもいいですよ」
自分でも家で作って食べてみて、
おいしいと思ったからオススメしまくる。
昔の僕は、野菜なんてほとんど食べなかったし、
料理もしなかったのに。
お客さまも僕も、どんどん野菜が
好きになっていく。
頭がキュッと小さくて、
うろこが艶やかに光っているのは、新鮮な証拠。
今日はそんな、とっても新鮮なイワシが入ってきたから、
計画では焼き魚用に売り出す予定だったけれど、
特別に刺身用にさばいて売り出すことにした。
いい魚を見ると、いつもブルブルって武者震いしてしまう。
「どう楽しんでいただこう?」「どんな食べ方をしていただこう?」
日々研究して、魚がいちばんおいしい状態でお客さまに出す。
ライバルは、居酒屋さんとかお寿司屋さん。
きっと負けてないと思う。
あれこれ動くよりも、
カットするならカット、品出しするなら品出し。
同じ作業をつづけてすると、無駄な動きは減る。
包丁は冷蔵庫へ、ハサミは壁へ。
置き場所をルール化すると、探しものする時間はなくなる。
作業効率の改善だって、立派なお店づくりの一つ。
みんながわかるルールをきちんと決めたら、
ベテラン社員でも、新人のパートさんでも、
同じようにスムーズに動けるようになった。
おかげで、忙しいときもパパッと作業が終えられて、
お客さまとお話する時間を大切にできている。
人の目線は左上から動くという習性から、
陳列のレイアウトを考えることもある。
いかに立ち止まって見ていただけるか。
とことん、お客さまの気持ちになって考える。
なかなか売り上げが伸びないな、と悩んだときには、
近所のレストランの盛り付けを参考にすることも。
この前は、自作のポップと試食コーナーで、
ふだんの売り上げの3倍を達成!
何より、お客さまにたくさん食べていただいて、
たくさん「おいしい」って言っていただけるのがうれしい。
いつか、自分で考案した新メニューも売り出してみたいな。
やっぱり最後に信じられるのは、自分の直感。
試食して、心から「おいしい!」と思ったものを仕入れている。
仕入れた後は、自分のヨミどおり売れるかどうか、ドキドキ。
当たったらうれしいし、外すとけっこうへこむ。
ちょっと賭け事に似ているかもしれない。
よく売れると、仕入先の担当者さんと一緒に喜ぶ。
もっとおいしいものをお客さまに届けたい、
その気持ちは、担当者さんも僕も同じだから。
お店の現場で聞いたお客さまの声も必ず伝えて、
さらなる商品開発に活かしていただいている。
他のレジがすいていても、いつも必ずわたしのレジに
並んでくださるお客さまがいる。短い時間だけど、
笑顔で元気に挨拶して、ちょっとお話。
「今日は孫が来るからご馳走なの」
「わあ、それは楽しみですね!」
ご高齢でお金を払うのに
手こずるお客さまとは、一緒に小銭を数えるし、
お腹の大きな妊婦さんのカゴは、
袋詰めをする台までわたしが運ぶ。
親切というよりは、
自分の家族だったら当たり前にすること。
「あなたに会いに来てるみたいなものね」
とよく言われるけれど、わたしもお客さまと
お会いするのを、毎日楽しみにしている。